ヴェヌスがヴェ・ネラと呼ばれていたころ。真冬の〈都〉ではユルネイアとの戦争が囁かれ、〈教会〉を我がものとしようとする〈神の子羊評議会〉の勢力がより一層の激しさを増していた。
薪商人ガイオの使用人、少女ヴォルパは、ある日、火を操る力に目覚める。彼女の力が聖なるものであることに気づいた大司教ダニエリュスは、ヴェ・ネラの救世主としてヴォルパを教会に迎え入れる。不思議なオーラを放ち、数々の奇跡を起こすヴォルパ。そんなヴォルパに激しく心を乱される美貌の〈神の戦士〉クリスチアーノ。ヴォルパへの強い想いの芽生えに戸惑いながらも彼は、〈神の戦士〉としての使命に生きようとする。一方ヴォルパは、いつの日からかクリスチアーノを、自分の〈天使〉として敬慕するようになるが……。
1947年イギリス・ロンドンで生まれる。1975年DAW Books USAから『The Birthgrave』を出版して以降、立て続けに26冊を上梓し専業作家となった。長きにわたり世界中で愛読され続ける彼女の作品は、長編、短編、シリーズものなど15カ国以上で翻訳されている。最近の邦訳書に『バイティング・ザ・サン』『鏡の森』『ウルフ・タワー』シリーズ1〜4巻『ヴェヌスの秘録』シリーズ第1巻(小社刊)がある。
【訳者】 柿沼瑛子(Eiko Kakinuma)英米文学翻訳家。早稲田大学第一文学部日本史学科卒。訳書に『遺された庭の秘密(上下)』(バーバラ・デリンスキー/扶桑社)、『フランチェスコの暗号(上下)』(イアン・コールドウェル、ダスティン・トマスン/新潮社)、『パリ 遊歩者のまなざし』(エドマンド・ホワイト/DHC)、『ヴァンパイア・クロニクルズ』シリーズ(アン・ライス/扶桑社)『ヴェヌスの秘録』シリーズ第1巻(タニス・リー/小社刊)他多数。
【装画】 丹野忍(Shinobu Tanno)イラストレーター。1973年生まれ立命館大学文学部卒。『グイン・サーガ』シリーズ(栗本薫/著、早川書房)、『アルスラーン戦記』(新書)シリーズ(田中芳樹/著、光文社)などの装画で、圧倒的人気を得ている。画集に『永遠の残照』(丹野忍/著、朝日ソノラマ)がある。
◆狂おしいほどに純粋な聖なる乙女と神の戦士の神話。文句なしに最高です。安易なハッピーエンドを否定するかのような最後の皮肉がまたいいですね。 (?歳・女性)