「シンプルかつ強烈なキーワードでベクトルの一致と一体感の醸成をめざす」

株式会社東武百貨店 総務部 広報のみなさま

株式会社東武百貨店
http://www.tobu-dept.jp/
総務部 広報のみなさま

東京池袋に本店を置き、東武鉄道のターミナル百貨店としてユニークな存在感を放つ東武百貨店。
今回は、創刊以来45年余の歴史を誇る同百貨店の社内報の現場に迫ります。

Background
帰属意識が芽生えにくい環境

総務部広報担当プランナー 西口 美穂さん
総務部広報担当プランナー
西口 美穂さん

百貨店の職場は、従業員の一体感や会社への帰属意識が生まれにくい環境にある。たとえば職場の最前線ともいえるショップで働いているのは、ほとんどがメーカーからの派遣社員である。また、売り場が明確に分かれているため、仕事がすべてそこで完結してしまい、他の売り場やフロアに目がいかない。ましてや百貨店全体にはほとんど意識が向かない。結果として視野が狭くなり、当然その百貨店への帰属意識が低くなってしまう。

さらに東武百貨店の場合、池袋店と船橋店を抱える株式会社東武百貨店と、栃木の宇都宮店と大田原店を運営する株式会社東武宇都宮百貨店に経営が分かれている。この2社4店舗で働く従業員の心をひとつにまとめ、意識のベクトルを合わせることも必要となってくる。 こうしたいくつかの特殊性を踏まえて、効果的なインナーコミュニケーションを実現するために、東武百貨店ではある一つの方法をとった。それは、同社で働く従業員が共有できるキーワードを掲げ、それを社内報のテーマにも据えるという方法だった。

Concept
シンプルかつ強いキーワードで訴求

総務部広報担当マネージャー 金井 靖さん
総務部広報担当マネージャー
金井 靖さん

東武百貨店が掲げたキーワード、それは「親切一番店」という言葉である。そして、同社の社内報の誌名もこの言葉にした。「雇用形態や売場が違っていても、東武で働く者がもつべき重要なメンタリティとポリシーを親切一番店という言葉で表現しています。これは当社の経営方針にもなっているのですが、それを社内報の誌名にすることによって、求心力を高めようと考えたのです」(総務部社内報担当 金井マネージャー、以下同)当然、社内報では、この「親切一番店」がさまざまな形で繰り返し訴求されることになる。

「親切といっても漠然としていて、具体的に何をすればいいのかわかりにくいでしょう。そこで、親切とはどのようなものかを理解してもらうために、いろいろな方向から親切のかたちを提示。従業員一人ひとりが親切の大切さに気づき、共感してもらうことをねらっています。また、自分たち一人ひとりが東武を代表しているという意識がなければ「親切一番店」は実現できません。他のフロアの成功事例や新しい取り組みなど、できるだけ他のフロアや会社全体のことに関心が向くように情報を選んで掲載しています」

History
時代の変化に合わせて常に進化

総務部広報担当プランナー 川嶋 泰介さん
総務部広報担当プランナー
川嶋 泰介さん

同社の社内報は1962年9月、池袋店全館完成に合わせて創刊された。当時はタブロイド判の4ページ。ニュースや人事情報を中心としたシンプルな内容だった。発行の陣頭指揮をとった当時の根津社長は、社内報発刊の言葉として「社内組織の有効な運営・士気の高揚・職員相互間の親睦融和、の役目を何時までも果たすよう祈ってやみません」と記している。

その後、B5判、A4判とサイズも変わり、誌名も「東武ニュース」から「GOOD」へ変更された。このGOODを月刊で発行する一方で、2004年6月に2社4店舗の統合社内報が年4回のサイクルで発行されるようになった。この統合社内報の誌名として「親切一番店」が初めて登場する。

その後、2006年3月に、並行して発行されていた東武百貨店の社内報を統合社内報に収斂。ここに初めて本当の意味での全社社内報が誕生したのである。

Editorial Policy
ビジュアル重視でインパクトある誌面

総務部広報担当プランナー 加瀬 栄之助さん
総務部広報担当プランナー
加瀬 栄之助さん

同社社内報は、30代前半の女性をメインの読者ターゲットに設定している。「マネージャークラス以上の人には、比較的情報は伝わります。ある程度キャリアがあってまだマネージャーではない、いわば現場の最前線の方にはなかなか情報が伝わらないことが多いのです」。言い変えれば、最前線で活躍する貴重な戦力である彼女たちが職場活性化のキーパーソンであり、彼女たちに適切な情報提供と働きかけをすることがとても重要なのだ。職場の最前線で働く彼女たちに関心をもって目を通してもらえる社内報こそ、求めたものだった。

「販売は立ち仕事です。社内報を読めるのは休憩時間や家に帰ってからのちょっとした時間です。そんなわずかな時間に読んでもらうにはインパクトが必要です。また、全部のことを伝えようとしても無理です。最低限のしかし重要なエッセンスを的確に、端的に、魅力的に伝えられるように苦心しています」

Effect
わかりやすさで好評を博した企画

わかりやすさで好評を博した企画

同編集部は、毎号必ず読者アンケートをしているが、2006年3月のリニューアル以来、読者の反応は良い。ただ読まれるだけではなく、マネージャーが朝礼のネタとして社内報を使ったり、店長が放送朝礼のときのネタにつかったりするなど、さまざまに活用されつつある。 
また、読者アンケートを実施する一方で、各フロアの販売促進マネージャーへのヒヤリングも行っている。フロアのキーパーソンに、社内報を読んでの社員の反応や職場での反響などをきっちりリサーチしているのだ。

そうした中で、最近非常に評判の良かった企画が、2006年5月号の特集「個人情報保護法施行から1周年 ちょっと待って! あなたの行動そこが危ない!」である。内容が難しく、読者が敬遠しそうな個人情報保護法の重要性を、4コマ写真マンガでわかりやすく表現。実際の社員をモデルにして写真を撮影し、それに吹き出しをつけて4コマ漫画風に仕立てている。「制作時、モデルとなる社員の依頼や撮影の段取り準備などでなかなか大変でした。編集やデザインにも多少手間がかかりましたが、その分誰が読んでもわかりやすい誌面になったと思います。同業他社の社内報担当者の方からも“おもしろい”“ユニーク”“わかりやすい”と好評でした」

Ambition
わかりやすさを残したまま誌面を拡充

わかりやすさを残したまま誌面を拡充

東武百貨店の唯一無二のコミュニケーションツールとして定着しつつある『親切一番店』。さらなる定着、浸透を図る一方で、企画や誌面もさらに拡充していきたいと金井マネージャーは話してくれた。「2006年3月の完全統合にともなって、配布範囲を派遣店員まで広げました。これによって、幅広い立場の人間が読むようになったためターゲット・論点をどこにすべきか改めて見直す必要があると考えています。

また、立ち仕事が基本の百貨店では、紙メディアは欠かすことのできない存在です。引き続き誌面を拡充していく一方で、本格的なディスクロージャー時代に対応するための経営情報も多く掲載していきたいですね。もちろん、“インパクトあるわかりやすい誌面づくり”というコンセプトは変わりませんよ」

(2006年11月取材)


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