受賞者 丸山浮草

丸山浮草

丸山浮草

UKIKUSA MARUYAMA

1966年生まれ。新潟県在住。新潟大学法学部卒業後、地元デザイン会社企画課長を経て、フリーランスのコピーライター。

著者コメント

 このたびは第2回「暮らしの小説大賞」をいただき、誠にありがとうございます。いろいろとカオスな小説ではありますが、評価してくださった審査員の先生方、編集の皆様、産業編集センターの皆様に厚く御礼申し上げます。
 私が最初に小説らしきものを書きあげたのが20歳くらいの時期で、実はそれが縁で今の仕事に就いています。文章を書くのは楽しいですが、楽ではありません。ぶっちゃけた話をすると、いまだに「てにをは」だって、けっこう悩みます。それに自分の仕事には「新たな視点を導入することで対象の魅力を再発見してもらう」みたいな作業もあり、なんというか、毎日「これでいいのか」と自問自答しながら仕事に臨んでいます。会社に所属していた頃は自らの「暮らし」をすり減らしながら職務にあたっていた気がしますが、フリーになってみると、仕事を巡るゴタゴタや七転八倒のすべてが私の「暮らしそのもの」になったような気もしており、以前と現在、どちらが健康的な生活だったのか、実はよくわかりません。自分が20代の若者だった頃、NHKのドラマで『人生一寸先は闇。だから怖くて面白い』というセリフを聞き、なるほど「生きる」とはそのようなものかと感心して、40代のオッサンとなる今日まで忘れずにいたのですが、実は、受賞の一報をいただいた際、頭に浮かんだのがこの言葉でした。まさしく、人生は驚きの連続です。これからも何が起こるかわからない毎日を楽しみながら(あるいは文句をぶーぶー言いながら)、たぶん死ぬまで何かの文章を書きつづけているような気がします。だから今回の受賞は、とても、とても、嬉しかったです。
 皆様、本当に、ありがとうございました!

作品概要

 40歳を越えてなお独身、親と同居のひとりっ子、ともふささんは日本海を臨むとある町のしがないデザイン会社の文案担当。仕事はなかなかできるのだが、私生活は雑多な本の山に埋もれた部屋の、湿った万年床の上でうだうだ過ごす自堕落ぶりだ。貧乏から脱出しようという気概はなく、結婚生活にも挑めず、問題を先送りする日々を送っていたが、変化は突然、やって来た。大企業からのヘッドハンティング話、恋人の妊娠、父親の事故……。

 生意気な部下と腐れ縁の大男、生者と死者、焼きそばパンとナポリタン……などなどが入り乱れながら繰り広げられる「俺の暮らしはどうなるのだろう(不惑超えてんのに)」小説。

最終選考会 事務局総評

 去る2015年3月25日、4月9日に第二回「暮らしの小説大賞」最終選考会が行われ、慎重な選考の末、丸山浮草さんの「ゴージャスなナポリタン」が受賞作となりました。

 80年代ポップ文学を彷彿させる文章スタイルで、今を生きるアラフォー世代の姿を風変わりに描いた「ゴージャスなナポリタン」。「登場人物たちのキャラクターの好ましさ」「クセになる読後感」「暮らしの小説大賞の可能性と幅を広げるに足る作品」という理由から、この度の受賞となりました。

 実は選考会では文体とモチーフ、それぞれに対する評価が分かれました。
 「ともふささん」に代表される本作品の登場人物たちの暮らしぶりは、率直に言って、寄る辺なくてままならないものばかりです。決して理想的とは呼べない日常、ライフスタイル。それらが自由度100%の語り手によって、縦横無尽に語られていきます。この「語り」が非常に読みにくいという意見が最後まで残りましたが、“頼りなくて情けない自分” “そんな自分の毎日” “これからの自分の人生”への彼らの向き合い方は、妙にリアルで魅力的なのです。そしてその妙なリアルさが、この語り手によって確立されていることは明白、という理解と承認により、受賞作となりました。

 懐かしさの中に新しさが光る「ゴージャスなナポリタン」。読後は、ナポリタンが食べたくなりますよ。あわせて「暮らしの小説大賞」の懐の深さとユニークネスを、ぜひ感じ取ってください。

選考会の様子1
選考会の様子2
選考会の様子3

授賞式の様子

2015年10月9日、昨年に引き続きマルノウチリーディングスタイルにて、第二回暮らしの小説大賞の授賞式が行われました。
トロフィー・副賞のプレゼンターは第一回受賞者の髙森美由紀さんにつとめていただきました。今回もたくさんの方にご来場いただき、盛会のうちに終えることができました。

選考会の様子1
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受賞作品

暮らしの小説大賞 第二回受賞作品

ゴージャスなナポリタン
『ゴージャスなナポリタン』丸山浮草 2015年10月16日 発売!
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