「全員に届ける」ことが難しい時代
働き方や人材の多様化が進み、インターナルコミュニケーションにおける「メッセージの伝わり方」が変化しています。
この傾向は近年多くの企業が実施している「従業員エンゲージメント調査」にも表れています。従業員の属性によって各項目のスコアに差が見られるケースも少なくありません。
職種や職位、年齢、勤務地などが違えば、会社との距離感も、働くことへの価値観も、前提として有する知識や経験も、必要なサポートも異なります。
インターナルコミュニケーションにおいても、「同じ情報を、等しく全員に届ける」という発信だけでは、全員の認知・理解・共感にはつながらない――つまり、「全員に響くコンテンツ」をつくることが難しい時代になっているのです。
「あなたに届ける」という発想
そうした中で注目されるのが、インターナルコミュニケーションの「パーソナライズ」です。
すでにSNSやECサイトなどでは、自分の興味や関心に添った情報がオススメに挙がってくることが当たり前になりつつあります。このような“自分に最適化された情報が届く仕組み”をインターナルコミュニケーションにも適用するのです。
とはいえ、この考え方が今までまったく意識されてこなかったわけではありません。
冊子の社内報でも、「ある特定の属性を意識した企画」はこれまでも一般的に掲載されてきました。しかし、発行回数や紙幅が限られる中では、どうしても「全員に届ける情報」を優先せざるを得ない……という制約があったのも事実です。
一方、Web社内報ではそうした制約が弱まり、従業員の属性ごとに情報を発信することも可能になりました。社員が求める情報ニーズを把握することで、今まで以上に相手に寄り添った、いわば「あなたに届ける」インターナルコミュニケーションが実現できるようになったのです。
パーソナライズ実現の後押しになるもの
では社内報をパーソナライズしていくためには、何が必要なのでしょうか。
1つは「調査に基づいた戦略設計」です。
- ターゲットの従業員層は、どんな情報が知りたいのか
- どんな悩みを抱えているのか
- どんな価値観に共感しているのか
そうしたニーズやインサイトを把握することで、一定の根拠のもとに「誰に、何を、どのタイミングで届けるのか」の判断ができるようになるからです。
また、パーソナライズをさらに発展させるのが「ログイン認証」を含むデジタル基盤の進化です。
私たち産業編集センターがクライアント企業を対象に実施した調査※では、「Web社内報の仕様」について、2023年時点では「共通ID・パスワード(を採用している)」と回答した企業が圧倒的(約7割)だったのに対し、2025年は「他のシステムとの認証連携」が最多(37%)となりました。
(※調査期間:2025年8月25日〜2025年10月20日、回答社数:137件)
この変化は、よりセキュアな環境が求められた結果であると同時に、受け手の属性を意識したコミュニケーションが主流になりつつある表れとも言えそうです。
こうしたデジタル基盤の変化も、パーソナライズを後押ししていくと私たちは考えています。
全員も、あなたも大事
ただし、「全員に届けるコミュニケーション」が不要になったわけではありません。
たとえ受け手によって解釈が変わろうとも、「全員が同じメッセージを受け取ること」自体に価値がある場合もあります。大切なのは、「ニーズやインサイトに基づく発信をすること」です。届けたい内容やタイミングに応じて、「全員」と「あなた」を使い分ける。パーソナライズは、「誰に・どのような体験を届けたいのか」をあらためて考えるきっかけにもなるのです。
情報は発信しているのに、なかなか社員に読んでもらえない。読んではもらえているけれど、なかなか行動に結びつかない。もし今、そんな状況に直面しているならば、パーソナライズの考え方が有効な解決策の一つになるかもしれません。
「全員」も「あなた」も大事にする多角的な視点で、私たちが一緒にインターナルコミュニケーション設計を考えていきます。